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  • 執筆者の写真ono chizuru

耳慣れのコワさ



STAY HOME。


以前はだらだらと

テレビをつけていることが

多かったのですが、


最近は音楽を聴きながら

本を読んだり

仕事の資料を作成したり

ZOOMで講座を開講してみたり

ZOOM飲みをしたりと、

俄然パソコンをひらく時間が多くなりました。


研修用の資料を作っていた中で


わぁ!私、間違った日本語が

耳慣れしてしまってた!と

思った言葉があったので

書き留めておきたいと思います。


それは、


【A】拝見いたします

【B】拝見させていただきます


という言葉。



どちらもよく言ってしまうし

よく聞く言葉。


でも間違い。


正しくは

「拝見します」


言われてみればそうなんですよね〜



【A】拝見いたします、は

「拝見」と、「いたす」で

謙譲語が2回出てきてしまって

二重敬語。


【B】拝見させていただきます、も

「拝見」と「させていただく」で

二重敬語。



しかも、

「させていただく」は

扱いがちょっと難しくて


文化庁の敬語の指針によると(P 40)

下の2つの条件を満たした場合に

使うことができる言葉だと記されていました。


①他者の許可を受けていて

②自分が恩恵を受けるとき


なので、例えば


『日程変更させていただきます』は

①相手とのリスケの結果、

②日にちを変更できた

ので、使い方は正しい。


いまの状況で良く耳にする

『イベントを中止とさせていただきます』は

①許可が必要でもないし

②中止にして自分になんの恩恵もないので


『イベントは中止といたします。』

が正しい。


で、

いまこの時期に


この敬語が正しいとか

正しくないとかっていうのは

はっきり言って

どうでもいい話ではあるのですが、


この “させていただきます症候群”の

発症元を考えると

なんか

今の世の中と通じるものがあって

ちょっと面白い。



















この間違った日本語の蔓延の根本となったのが

2010年あたりの鳩山元首相、麻生元首相から

だという話なんですよね。


政治家の「させていただく」は

責任主体を遠ざけている感じが

してしまいます。


「こうします!」って言ってくれれば

みんなでそれに向かって進んでいくのに

誰が決めたのかを

曖昧にしておきたがる感じが

突っ込みどころ満載になって

結局批判の元となる。


それでもそこから


ものごとをストレートに言うと

それが失礼ないい方になるのではないか、

という


言葉づかいに対する自信のなさと

批判されることを恐れて

防御意識がつよく働き

「させていただく」ウィルスが蔓延した。


SNSの台頭で誰もが影響力を持って

発信できる時代になったから、

その意識に拍車がかかったのかな。


そして

とにかく最大限に丁寧にへりくだっていれば

失礼にあたることはないという

意図のこもった

「させていただきます」が飛び交い

耳慣れしてしまった。


んー、、、確かに。

私自身もそうだったかも。



「させていただく」を

過剰なへりくだりのツールとして

乱用しないように

心から気をつけよう、


日本語には言霊があるから。


そう思った週明けの月曜日の朝でした。



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